千葉を出て、21歳から東京で生活をしているうちに、セカンドライフについて考えることが多くなりました。定年後から行動するのは精神的にも体力的にも厳しいと思ったので、挑戦するなら早い方がいいなと思っていました。そんな時、百島の地域おこし協力隊の募集を見つけ応募しました。自然豊かなところに住みたいという思いがあり、なによりライフスタイルを変えるきっかけが欲しかったのです。妻とも、「人生は一度きり。お互い悔いのないように楽しもう」と常日頃から話し合っていたので、応募する決心をしました。
百島地域おこし協力隊として一番のミッションは、百島のマリンアクティビティの活性化です。しかしそれが、島民の生活の豊かさに直接繋がるのかというのは別の問題です。そのためにまずは、百島の重大な問題から解決していこうということになりました。
百島は、全国的にも有名なイノシシ被害の町。民家に侵入したイノシシは、冷蔵庫の食料や畑を荒らし、壁や冷蔵庫などを破壊します。島民の方も大きな恐怖心やストレスを抱えており、事態は深刻化する一方。これを解決するため、狩猟免許を取得し、被害を発生させる個体の駆除を進める予定です。被害を少しでも減らし、島民の方の助けになりたいです。
そして、空き家問題もかなり深刻化しています。百島には、現在約640棟の住宅がありますが、そのうち人が住んでいるのは約200棟。半数以上が空き家です。そこにイノシシが侵入し、さらに荒れ果てるという悪循環。人口減少や高齢化も著しく、多い時でも3000人近くいた人口は、今や400人を切っており、住民は70歳越えがほとんどです。私は最初、この空き家を持ち主の方に手放してもらい、移住者にDIYやリフォームをして立て直していこうと考えていました。しかし、百島には不動産を統括している場所がなく、空き家の持ち主を一軒一軒探し出す必要があったんです。さらに、たとえ見つけ出して持ち主に連絡をしても、なかなか他人に家を快く貸し出すことを了承してくれる人はいませんでした。島には墓もあるため、帰省して墓参りをした後、寝泊まりする場所がなくなってしまうことも理由の一つだったと思います。そこで、資産面や環境面など空き家を保持し続けることのリスクを理解してもらうことを目的とした注意勧告のポスター制作を行うことにしました。空き家を減らすことで、百島を安全で住みやすい場所にしたいです。